口蹄疫

 4月20日の口蹄疫発生以来、宮崎は口蹄疫一色だ。一体いつになったら終息宣言が迎えられるのだろうか。

 5月18日には、「口蹄疫」非常事態宣言が出され、畜産農家以外にも、不要不急の外出は控え、イベントや集会等は当面の期間延期するように要請されている。

 正確に把握していないが、京都産業大学同窓会宮崎県支部の会員で、口蹄疫の影響を直接受けている方もいるかもしれない。

 口蹄疫の発生地域での防疫作業に参加している会員も複数いると思われる。

 「処分が遅れている。」などと一方的に報道されているが、これから先も残り20万頭近い牛や豚などを処分しなければいけない。

 牛や豚の処分、その先の埋却、牛舎等の消毒作業は、重労働で、本当にきつい仕事だ。中でも、体力的につらいのは、豚舎の清掃と消毒作業だろうか。

 防護マスクをしているし、暑いので、防護服の中は汗びっしょり。1人で20キロの消石灰を50袋運び、黙々と農場内に散布すると、1人で1トンの消石灰を扱うことになる。現場によっては、1人で軽く2トン以上の消石灰を扱っているのではないか。

 牛舎は壁がないので風も通るが、豚舎には壁があり、古くて狭い豚舎内で消石灰をまくと、視界は2mもない。ゴーグルに石灰の粉がついて、余計に見えにくい。

 防護服と長靴や手袋のすき間から石灰が入り込み、汗と反応して、やけど気味の皮膚炎になる作業員も多いし、その他けが人は毎日のように出ているようだ。

 また、殺処分した牛や豚を埋却する仕事も、精神的につらい仕事だ。目の前で牛や豚が殺処分される異様な光景と悲鳴のような鳴き声。一日中これにさらされていると、気分がよいはずがない。作業後に突然この光景やにおいなどがフラッシュバックし、気分が悪くなったり、倒れたりする作業員もいるようだ。

 殺処分され、ダンプカーで運ばれてきた親豚を見るのもいやだが、生まれたばかりの子豚を1頭1頭埋却地の穴に自らの手で投げ入れるなどというのは、特に心が痛む。感情的になっていては、作業が進まないし、精神的におかしくなりそうなので、なんとか割り切って作業しようと努めてはいても、どうしても涙が出てくる。

 こんな異常体験が一体いつまで続くのか。防疫作業員のつらさなど、口蹄疫の直接的な被害にあっている畜産農家に比べれば、たいしたことではないのかもしれないが、先の見えない戦いに、さすがに心身ともに疲れを感じてしまう。

 あと何度現場に行かなければいけないのか。口蹄疫の、1日も早い終結を願うばかりだ。